石油大国イラクで、中国製の太陽光パネルが売れている。産油国の住民が**2000ドル(約32万円)**を払ってソーラーパネルと蓄電池を買う。戦争が生んだ皮肉な光景だ。
首都バグダッドに住むアリ・アルカザリさんは、屋上に中国製パネルを設置した。イラクは世界有数の産油国だが、発電所を動かす天然ガスは輸入に頼っている。猛暑の夏、エアコンが止まる恐怖から逃れるための投資だった。
戦争がエネルギー地図を塗り替える
イラン戦争で中東の石油・ガス供給が細り、世界中が代替エネルギーを探している。答えの多くは太陽光や風力といった再生可能エネルギーだ。技術を握っているのは、圧倒的に中国だった。
戦争でエネルギー価格が跳ね上がるほど、中国のグリーン産業は潤う構図ができあがった。石油を売って儲けるのではなく、石油が止まることで儲ける。地政学の教科書にはない勝ち方だ。
産油国ですら電力不足に悩む現実が、エネルギー転換を加速させている。イラクの住民が自腹で太陽光パネルを買うのは、国の電力インフラを信用できないからだ。戦争は意図せぬ形で脱炭素を推し進めている。
石油危機のたびに「脱化石燃料」が叫ばれてきた。今回は掛け声だけでなく、産油国の屋根の上で静かに革命が進んでいる。
