「低所得層の客が減っても、高所得層が埋めてくれる」。マクドナルドのクリス・ケンプチンスキーCEOが投資家向け会議でこう語り、アメリカで大炎上した。
発言は非公開の投資家ミーティングで飛び出した。売上への懸念に対し、CEOは「低所得の消費者が減少しているが、高所得の消費者がその穴を埋めている」と説明。業績は問題ないという趣旨だった。だが動画がSNSで拡散されると、「貧乏人は来なくていいってこと?」「ファストフードすら買えない層を切り捨てるのか」と批判が殺到した。
「K字型経済」の残酷な現実
この炎上が象徴するのは、アメリカで鮮明になった「K字型経済」だ。コロナ禍からの回復で、富裕層は株高や資産インフレの恩恵を受けて上向きに伸びた。一方、低所得層は物価高に賃金上昇が追いつかず、下向きに沈んでいる。アルファベットの「K」のように、同じ起点から2つの階層が真逆の方向に進む構図だ。
ファストフードは本来「安くて早い」が売りだった。だがアメリカではインフレでビッグマックのセットが**18ドル(約2700円)**を超える店舗も出てきた。日本でも物価上昇と実質賃金の伸び悩みで、似たような見えない分断が進んでいる。
マクドナルドは慌てて5ドルのバリューセットを投入し、低価格帯の顧客を取り戻そうとしている。だがCEOの本音が漏れた以上、「結局、金持ち優先なんでしょ」という印象は簡単には消えない。
皮肉なのは、この発言が「失言」ではなく「事実の説明」だった点だ。富裕層の消費で業績が維持できているのは数字上の真実であり、CEOは株主に正直に答えただけともいえる。だがその正直さが、格差社会の残酷さをかえって浮き彫りにした。
ファストフードですら高額化が進む現実。就職や将来設計を考える世代にとって、これは重要な社会変化の兆候といえるだろう。
